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地域コラボレーション

WITH YOU TO YOU.

地域と共に、あなたに。

株式会社 心石工芸
心石 拓男さん
日本の技術を磨き伸ばし続ける
「オリジナルソファ」

日本でモノづくりを続けるため、量産からオーダー生産へ

「“気に入ってるから、ずっと使い続けたい”と言ってくださるお客様がいるから、技術を磨き続けられたんだと思います」。 「株式会社 心石工芸」の二代目代表・心石拓男さんは、会社のこれまでを振り返りながらそう話してくれました。 一般には知られていないが、業界内では知名度のある「心石工芸」。手掛ける製品の割合はソファが95%、他ベッドフレームやサイドテーブルと続きます。福山市内に本社と工場、ショールームを設け、2015年には東京・神宮前に革張りソファ専門店をオープン。 順風満帆に見えるようでも、ここまでたどり着くには苦難の時期もあったといいます。 「創業後しばらくは、当時流行中だった応接セットが飛ぶように売れましたが、バブルが弾け、安価な海外製品が大量に輸入されるようになりました。「安かろう悪かろう」でも売れるという現実の中、1997年頃には中国進出も考えましたが、何とか日本で製造を続ける道はないかと考えました」。 大量生産で儲ける道を考えなかった理由--それは「社員さんと一緒に、楽しくモノづくりを続けたい」、その一心。 「“信頼を大切に、従業員が安心して働けるようにするのが自分の務め”というのが私の父、心石工芸創業者の口癖でした。そのために“お客さんの想いを形にできるソファ屋にならなくてはならない”と考え、技術を上げ、製品の魅力を上げようと決意しました。現場の職人さんたちを説得しながら、2000年頃に、それまでの量産からオーダー生産に転換したのです」。

想いを込めた自社ブランド「KOKOROISHI」

先代・務睦さんのもとに生まれた拓男さんは、幼い頃から自宅の横に工場があり、ヨーロッパの高級ソファに触れたり、良い革に触ったりして育ったそう。「英才教育のつもりはなかったのでしょうが、いいものを見て、触れて、使ってきた経緯があるので、“自分もいいものを作りたい”という想いは強いですね」。そうして、大量生産の波にのまれ消沈していた社員さんと一緒に、“何十年も愛される製品を作る”ことをモットーに、品質の向上目指して社員全員が一丸となって取り組んできたといいます。2007年には、拓男さんが二代目社長に就任し、2011年には自社ブランド「KOKOROISHI」を立ち上げ。実用性と耐久性を兼ね備えた合理的なデザイン、そして使う人の価値観が反映されたソファが求められるようになった時代に、完全オーダー生産の自社ブランドを立ち上げることは必然だったのかもしれません。

20年先の変化まで設計したディテール

「ソファづくりは、ディテールの積み重ねです」と拓男さん。 「ソファの製造工程は複雑です。資材は30種類近く、細かい工程を数えると40程度になります。その一つひとつを丁寧に、確実に行うことです。例えば、使用する革をどう裁断するか、縫製のラインをどう入れるかで雰囲気が変わる。見えないところに使う木材でも、樹種や密度によって耐久性が変わる。座面の角度とウレタンとをどう組み合わせるかで座り心地が変わる」。ひとつ、例を教えてくれました。「背もたれの上面、革の繋ぎ目にステッチがあるでしょう。革やウレタンといった柔らかい素材を使って、真っ直ぐなラインを出すのは難しいです。その仕上がり感でメーカーの技術が見えてしまう。その素材は、使ううちに柔らかくになり変形してくる。その型崩れを計算しながらどう作るかで、20年後の製品価値が大きく左右される。だから、自分たちが過去に作ったソファを、張替え修理しながら研究し続けなければならないんです」。こうして、“永く愛される”ソファは作られてゆくーー。日本の職人としての揺るぎないプライドがそこにありました。

ソファは“人と人が集う場所”

現在生産している製品の6割がOEM(委託製造)、4割が自社製品という「心石工芸」。徐々に自社製品の割合を高めているといいます。
「OEMでは全国のメーカーさんの製品を生産しています。OEMの良いところは、お客さんやデザイナーによって求めることが違う。そこで新しい技術を開発し、より良いソファを作ることが可能になります。時代とともにお客様の目も肥えて要望水準が上がります。それに応えようとすると職人さんの腕も上がる。そういう鍛錬の積み重ねです」と拓男さん。自分たちの価値を「ここで良し」と決めつけるのではなく、次へ、またその先へと再設定し続ける。だから、業界内でそこそこ知られるソファメーカーになってきたのでしょう。最後に、家具の中でもなぜ「ソファ」にこだわり続けるのかを尋ねました。すると、「単純にソファが好きだというのもありますけどね。座り心地が良いソファには長く居るから、自然と家族も友人も集まってくるでしょう?いいソファは、家族の思い出が作れるんです。」と拓男さん。「ソファを想うことは、人を想うこと」。そんな温かな心を垣間見たようでした。

株式会社 心石工芸 × ANCHOR HOTEL

ANCHOR BARに備えられたソファや、最上階10階にあるバルコニー付の客室「ペントハウス」用に特別に用意されたソファは「(株)心石工芸」の自社製品。高品質の木材やウレタンを使用しているため素材の密度が高く、ずっしりとした重みがあるのが特徴です。“上質なソファが一つあるだけで空間すべての品格が上がる”、その価値をぜひその目でお確かめください。

  • 株式会社 心石工芸

    広島県福山市柳津町4-5-20 / TEL.084-933-3335
    福山市柳津町の自社工場でソファの製造・販売・卸、張替修理を行うソファ・ファクトリー。2011年に自社ブランド「KOKOROISHI」創立、2015年には東京・神宮前に直営店をオープン。2016年からはソファづくりの技術を生かしたバッグ事業もスタートさせた。

    オフィシャルサイト

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ANCHOR HOTEL FUKUYAMA

〒720-0054 広島県福山市城見町1丁目1-10
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