地域コラボレーション
WITH YOU TO YOU.
地域と共に、あなたに。
- たではら農園
- 蓼原 由美子さん
酸っぱくて甘くておいしい!新感覚の「蒼い蜜柑」
「みかんはオレンジ色」。そんな常識を覆す「蒼い蜜柑」を、尾道市瀬戸田町で生産する蓼原由美子さん。 「まだ色づいていない、完熟前のみかんが食べられないなんてことはないんですよ」と、つやつやと輝くグリーン色をした小粒のみかんを割って、さあどうぞと差し出してくれました。少しドキッとしながら口に運んでみると……おいしい!酸っぱいけれど、しっかり甘みもあって、柑橘の酸と甘みを同時に味わう欲張りな気分。
「おいしいでしょう? 近頃はグリーンレモンが有名だけれど、レモンと違ってみかんは苦味が少ないから、お酒に漬け込んだりするのにもぴったりなんですよ」。やわらかい笑顔でそう話しながら、収穫したばかりの柑橘を目の前に並べてくれました。極早生(ごくわせ)みかんに、レモン。どれもグリーンやオレンジが鮮やかで、キズはあるけれど、ピカピカ。
「収穫後は一つずつ布で磨いて埃や汚れを取りツヤを出しているんです。キズがあったり形が揃っていなかったりするけれど、“蒼い蜜柑”は『安心!広島ブランド』の認証を得ているので安心して食べられますよ」と蓼原さん。「安心!広島ブランド」とは、化学合成農薬や化学肥料を通常の5割以下の使用量で育てた特別栽培農産物だけが得られる、広島県独自の“安心印”。愛情をいっぱい注がれて育った柑橘たちが、蓼原さんの手の中で自信たっぷりに輝いていました。
捨てられる運命の摘果みかんを救ったアイデア
「蒼い蜜柑」が誕生したのは2010年ごろのこと。たではら農園に限らず、生口島の多くのみかん農園は、ある課題を抱えていました。
ひと口に「みかん」といっても品種はさまざまありますが、その収穫時期は11月後半~12月に集中します。柑橘の果樹を育てるためにはたっぷりの日差しが必要になるため、みかん畑は日当たりのいい斜面にあることが多く、急斜面で重い果実の収穫作業は若い人でも大変な作業。生産者の高齢化に伴って、廃業を余儀なくされたみかん農園も数多く、山や畑はどんどん荒れていきました。
このような島の現状を前に、摘果(果実をバランスよく育てるため間引きすること)する時期の青いみかんに着目した蓼原さん。摘果された完熟前の青いみかんは、農家が自分たちで食べる以外には廃棄されていたのです。
高齢化する農家さんを元気づけるために
「処分されてしまう完熟前のみかんを商品化しよう」と、通常は摘果されてしまうみかんに価値を見出し、『蒼い蜜柑』として販売をスタートさせた蓼原さん。そんな想いに賛同するカフェやBAR、居酒屋、スイーツショップなどからも少しずつ注目されるようになりました。
ANCHOR HOTELでは、たではら農園の『蒼い蜜柑』をまるまるジンに漬け込んだ自家製の『シトラスジン』を1階のANCHOR BARで提供しています。深いグリーン色の果皮と、ビビッドなオレンジ色の果肉のコントラストがとっても鮮やか!それを見たゲストからも「この果実は何?」という会話が生まれ、バーのカウンターを目にも耳にも、心にも鮮やかに彩ってくれています。
安心、安全。皮ごと食べられる地元産の柑橘
たではら農園で育つ「蒼い蜜柑」をはじめ、「極早生(ごくわせ)みかん」「早生温州みかん」「レモン」は、化学合成農薬や化学肥料を通常の5割以下の使用量で育てた農産物だけが得られる、「安心!広島ブランド」の認定を受けています。そのほかにも、慣行栽培の紅はっさくやはっさく、ネーブル、せとか、はるみ、はるか、しらぬいなど、1年中さまざまな柑橘が実ります。
「果樹に与える水は井戸から汲み上げた天然水。生口島は日当たりもよく、健康的な柑橘が育ってくれますよ」と蓼原さん。ピーク時には、1日に2,000㎏、ダンボール100箱ほどの果実を収穫しているといいます。とっても大変な作業ですが、蓼原さんはじめ親戚や家族が集うみかん畑は、みんなの笑い声が響いています。
「収穫は大変ですが、楽しいですよ。海が見えて景色もいいでしょう。休憩の時にはおしゃべりを楽しんだりして」と、青い空と海を背中にニッコリと笑う蓼原さん。この穏やかな人柄に惚れて、遠方からわざわざ訪ねてくるメーカーやシェフが絶えないのだとか。
帰り道、たわわに実った枝付きのみかんを分けてくださった蓼原さん。アドバイス通りに表面を磨いてみると、瀬戸田で見た太陽のようにピカピカと光ったのでした。
たではら農園 × ANCHOR HOTEL
ホテル1階のバー「ANCHOR BAR」では、たではら農園で収穫された季節の柑橘を使用したジュースやカクテルなどが楽しめます。おすすめは旬の柑橘をジンに漬け込んで作る「シトラスジン」。柑橘の爽やかな香りや酸味と、わずかな苦味を味わう大人の一品です。その他、その時期の柑橘に合わせて随時新しいメニューを開発していますので、お気軽にスタッフにお申し付けください。
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たではら農園
広島県尾道市瀬戸田町福田747 / TEL.0845-27-2395
オフィシャルサイト
柑橘の島であるしまなみ海道・生口島で、看板商品である「蒼い蜜柑」をはじめとする柑橘を生産・販売。『たではら農園』で栽培されているみかんとレモンは、化学合成農薬や化学肥料を通常の5割以下の使用量で育てた特別栽培農産物だけが得られる、「安心!広島ブランド」の認定を受けている。